そんなに暗い道じゃないから、泉君の顔もほんのり淡く確認出来る。
目、大きいな。羨ましい。一時期、そばかすに憧れたっけ。そばかすっていいな。元気そうで。
泉君の横顔を、穴が空く位の勢いで見つめてたら、急にこっちを向かれてびっくりしてしまった。
「う!」
「どうした?」
「ううん。イチゴ牛乳が器官に入りそうになっちゃった」
慌てて言い訳したら、泉君は困った様に「大丈夫か?」って笑った。
私は、苺シューを開けて半分に割って、泉君に差し出す。
「食べる?」
「え、いいの?サンキュ」
泉君は、少し笑いながら「やっりぃ」と受け取ってくれた。
「も、今日は災難だったな。日直とか、英語係りとか、しつこくCDについて聞かれたり…」
「あ…見てた?恥ずかしいなあ。」
「って、損な役回りが多いよな」
部活以外のツイてない所を見られてたなんて。
「そうかもね。しかも明日、うちらの学年のテニス部で、生活態度について話し合いしなきゃだし…。なんか、損な役が回って来やすいんだよね」
「ああ。、文句言わずに引き受けてくれそうだもんな。」
なんと!私って、そう見られてんの?びっくりしてシューをうっかり握ってしまい、中身が派手に飛び出た。ああ、私の夕ご飯…。
「でも…そんなだから、皆好きなんだろうな。なんでも受け入れてくれそうっていうか」
「…そんな好かれ方、好きじゃないなあ」
泉君は、一瞬目を伏せて、次にはまた笑った。
「そうだな。俺も、が疲れない方がいいや。安心だし」
「え…どういう…」
「あ。ん家、この辺じゃねえ?」
何で安心なのか聞こうとしたら、タイミング悪く、泉君が言った通り家の前だった。
少しもやもやとした気分を抱えつつ、釈然としないまま肯定の返事を出す。
「うん…」
「じゃ。また、明日ー!」
「バイバイ」
泉君は自転車に跨がって、私に手を振った。
私は、泉君の漕ぎ出しの不安定な姿に叫んでみる。
「裁縫苦手なのに、昼休み、ありがとうね!嬉しかったよー!」
「うわぁっ!?」
……私が大声出したからか…、泉君が振り返った拍子に電柱に衝突した。
それでもお構いなしなのか、なんとかコケもせず、泉君は自転車を漕いでいった。
「…泉君って、いいな…」
明日から、気になってしまうかもしれない。
散々な学校生活に、泉君が居たら、それで嬉しいかもしれない。
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菊清らいかがおお振りに…泉君にはまっているので、菊清の散々体験を資本に執筆した一作。
私も、野球漫画好きなので、菊清らいかがハマった時は嬉しかったです!
当サイトの取り扱いではありませんが、捧げ物には置いておきます。
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【08/01/24完成】
【08/04/22UP】