「ねぇ〜、外行こう!!外ぉ〜」

「あー…叫ばないで…頭が揺れちゃうから」

が休みで家に来てくれてるけど、俺は二日酔いの振りをしてる。

「もう!最近いっつも二日酔いでしょ…ダメ人間の仲間入りしちゃうよ?」

いや世間一般では、もう仲間かも知…。

「あ、もうそんな感じだったね。あはは」

「俺が考える前に納得すんなって…泣いちゃうぞ?いくら女に強い俺でも泣いちゃうぞ?」

「いいよ、泣けば?てか、そんなに強くないでしょ」

が、澄ました顔で言い切った。
あー…。こんな事言われてても、が可愛く見えちまうんだよ…。完璧惚れちまったって事だろうなぁ。俺も焼きが回ったもんだ。

「二日酔いの彼に言う言葉じゃねぇよなー…」

もっと、に俺の事ばっかり見させてぇんだけどな。

「彼じゃないよ」

「はぁ!?」

「びっくりしたー…二日酔いじゃないの?」

いやいやいや、それどころじゃねぇって!

「俺は一通かぁ!?部屋来てくれたりしてっから、てっきり付き合ってるもんだと思ってたぜ」

「いや、だから、」

「うっわー…、すっげ恥ずかしいよー…。生きてけねぇよ、俺」

「いい年して、顔隠さないの。」

背もたれに思い切り背を預けた俺は、真っ向から否定された。
気を取り直して、なんとかこの空気を修正しねーと。

「恥ずかしい俺見たんだから、は俺の彼女な」

「そうだよ」

「へ?」

なんだ?この話の流れ。

「彼氏とかじゃなくて、間夫って言いたかったの」

「間夫って…吉原とか、かぶき町の夜のお姉さま方が使う言葉じゃねぇの?」

「…そうなの?必死に好きそうな感じが伝わらないかな?」

「そうかぁ〜?」

ん?“必死に好き”?

まじまじとを見つめてみる。
は上目がちにこっちを見て、少し笑ってる。

「…大好きだよ…」

…夜明けのパフェ並に、沁みる…。
「…ところで、二日酔いは?」

やべぇ…の厳しい視線が…。

「二日酔いなんて、気合でなおったりしちゃうんだよ。“とにかく気合だ”ってスポーツの人も言ってるだろ」

「じゃあ、今までの二日酔いはなんだったのよ」

「気合で治しようの無い二日酔い」

「そのままじゃないのさ!!」

「痛っ!」

に、ほっぺを思い切りつねられて、抵抗出来ない。
なんかなぁ…負けててやろうって思えるんだよ。

二日酔いの振りは、はしゃぐの笑顔を、町の飢えたヤローどもに見られたくねぇからだってのは言わないでおこう。それこそ恥かしすぎて死んじゃうから、俺。



モドル

宜しければ感想を下さいませ♪メール画面(*別窓)


2006/12/14