**************************マヨの騎士6
「いらっしゃいませー」
今日も、うちは平和に営業してる。
「ちゃん、今日は撮影だったろう?10分したら上がっていいよ」
「ありがとうございます」
ここのコンビニに勤めて長いから、かなり融通が利く。それに、店長も応援してくれてて、かなり居心地がいい。
店長は、それだけ伝えると監視カメラ室へ引っ込んだ。
自動ドアの開く音がして、条件反射で挨拶をする。
「いらっしゃいませー」
「よう」
入って来たのは、よろず屋の銀時さんだった。
銀時さんは、チョコをレジまで持って来て、100円を置いた。バーコードを読み取り、会計の準備をする。
「100円丁度頂きます」
「やっぱり、アイツだったぞ」
「え…じゃあやっぱり…副長さんが?」
「あんたの本名知ってたっつーから、確実だと思うけど」
「ありがとうございます!」
浮かれながら帰り支度を済ませて、挨拶をした。
「お疲れ様でしたー!」
「お疲れ様。あ、ちゃん、アイツって…初恋の彼?」
「あ…聞こえてました?」
「うん」
「そうなんです。やっと見つかりそうなんですよ」
満面の笑顔になって、声も弾んでるのが分かる。
「…そうか…おめでとう…」
店長の声に元気がない。喜んでくれると思ったのに…。
「店長?」
「あ、ごめん。ちゃんは娘みたいなものだから、寂しくなっちゃって」
「やだ、店長。まだ上手く行くって決まった訳じゃないんだから、寂しがらないで下さいよ」
「そうだね。あ、最近、そっちの仕事増えてるんだよね?勤務日減らす?」
「あー…そうですよね。明日、予定を整理して来ます」
「わかったよ。頑張ってね」
「はい!」
「ちゃん、今日もお疲れ様ー」
「お疲れ様でした!」
撮影が終わってから、長屋までマネージャーさんが送ってくれた。夜遅くなった時は、いつも送ってくれる。
その時、マネージャーさんの携帯が鳴った。
「もしもし。あ、お疲れ様です!……。え?本当ですか!?……。はい。すぐにも伝えます。……。はい。ありがとうございます。失礼します。」
電話なのに、深々とお辞儀して電話を切ると、太陽のような笑顔を向けて私の手を握った。
「やったよぉー!!ちゃん!深夜コント番組、レギュラー決まったよ!」
「本当ですか!?」
夜遅いのに、大きい声で驚いてしまった。
「本当だよ。来月顔合わせがあるからね。来月は…」
「あ…ちょっとすみません」
巾着の中で携帯が震えた。ディスプレイを見ると、非通知からの着信だ。
「もしもし…?」
「…仕事やめろ。」
変声器みたいな声が響く。
「はぁ!?あなた…誰ですか?」
「…本当は今日のS社のだって、やめてほしいのに…他の男に愛想振りまくなよ」
「だから、あなた誰なんですか!?」
電話を切られた。
いい電話と、悪い電話…天国と地獄の入口をいっぺんに見せられた様な気分になった。
私は立ち尽くす…。
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2006/12/11