**************************マヨの騎士9
「笑って送ってくれ」
は、無理して…でも必死に笑顔を作っていた。
「…………」
気が付くと、自分の部屋の障子が飛び込んで来た。
昔の夢を見た。
昨日、と後味の悪い別れ方をしたからだろう。
あんなに成長してるとは…背はあまり伸びてなかったけどな。
タバコを手繰り寄せ、咥えて火を点けた。
吐き出す煙に、昨日のの顔が浮かぶ。
昔の、適当に言った言葉で本当に江戸まで追いかけさせちまった。なら、言い寄る男もたくさん居ただろうに。
を甘くみていた。責任も取れないくせに、軽々しく“大人になったら”なんて…。
見回り中も、気分が優れない。
「ちょっと、タバコ買って来る」
コンビニに入ろうとしたら、これまた気怠い姿が飛び込んで来た。
よろず屋の坂田だ。
更に最悪な事に、こっちに気付きやがった。
「あれぇ、何やってんですかぁ?おまわりさん」
「仕事だ。てめぇこそ何やってる」
すると、急に坂田は見下した様な笑いを浮かべた。
「あれぇ〜。知らないんだ?」
わざとらしさに苛々する。
「知らねえよ、てめぇの事情なんざ。何やってんだ?」
「教えてやってもいいけど…でもと気まずそうだからなー」
…がらみか?
「ま、警察は動けないだろうし。入りたければ、入ればいいんじゃねぇの?」
ムカついたが、タバコも切れてるから、奴の視線を無視してコンビニに入った。
「いらっしゃいませー」
聞き覚えのある声に顔を上げると、が驚いた顔でレジに立っていた。
「土方さん…」
「お前…仕事はどうしたんだ?」
「掛け持ちです。グラビアだけじゃ貯金出来なかったから」
「…貯金?」
「土方さんを探すお金です。でももう、あくせく貯める必要ないけど」
は、明るく寂しそうに笑った。昔のは仏頂面が多かったのに。
「そうか」
「あ。私、昇給したんですよ!ここから遠いけど事務所の寮に入れるし、お給料も上がるんです。もうこの辺りから引っ越して…しばらく、だけに専念します」
「…ここも辞めるのか?」
「はい。今月いっぱいで」
「そうか…しっかりな」
「ありがとうございます」
案外明るく振る舞うに拍子抜けしたまま、店を出た。
好きって言ったのは、軽い気持ちだったのか?
ただ、懐かしんでいただけか?
クソっ、タバコ買い忘れた。
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2006/12/11