最近、もっぱら船内で、1人で呑んでいる。
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今日から3日程、敵の居ない国に留まり鋭気を養うのだそうだ。
私は、この特戦隊で働く様になってからは、1人で出かけられなくなったので、外へ呑みに行く時は誰かにくっついて行く様にしている。もしも、飛行船から出て来る所を誰かに見られて、私が捕まっても面倒だ。
ガンマ団は相当恨まれているんだろうな。
この国は寒い。窓の外で雪が通り過ぎた。
私の脳内で、雪にまつわる歌が再生される。偶然にもその歌は、過去に経験した恋人への嘘と酷似していて、私は不覚にも弱ってしまった。
弱肉強食のこの社会、こんな事で落ち込んでどうする!
夕飯の準備が大体終わったので、部屋から料理に使う為に持ってきた酒を呑んで景気付けだ!!
あ…もしかして、コレってキッチンドランカー?
でも、暗い顔で皆様をお迎えするよりマシか…。
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やばい!眠ってた!夕飯は…。
キレイに無くなってる。そして、私の千○鶴も全て無くなっている。
お猪口2杯しか呑んでなかったのに…!知らない内に呑んでたのだろうか。
「起きたか」
少し混乱していたので気付かなかったけど、Gさんが隣に腰掛けていた。
「あ…えと…はい。」
「…隊長たちは呑みに出かけた…」
「あ…Gさんは見張りですか?」
Gさんは肯定の言葉を吐く代わりに頷いた。私は沈黙に対して焦ってしまう。
「えと…ごはん、食べてくれましたか?」
また、言葉も無く頷かれた。
「私の分は…残ってないですよね」
Gさんは、いきなり立ち上がり、冷蔵庫の中から皿を取り出した。
「の分だ」
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沈黙の食事。気まずい…。やっぱり、私は、まだGさんとは打ち解けていないかも…ううん、嫌われているのかも…。
「…何かあったか…?」
「え?」
「寝ている間、ずっと謝っていた」
謝ってた?…もしかしてお酒飲む前に、昔の事を思い出してからかな。
「ごめんなさい…昔、恋人が居たんですけど…他に好きな人が出来てしまった事があって。それを思い出してたからだと思います。」
Gさんは頷かない。
「裏切るつもりなんてなかったけど、好きな人が他に出来た時点で失礼ですよね。とっとと別れるべきでした」
口が止まらなかった…。何言ってるんだろう?何で頭から言いたい言葉が流れるんだろう。いざこざとは関係無いGさんにしゃべってしまうなんて。私は変だ。
Gさんは、やっぱり微動だにしない。
私は、余計にお腹が空いた気がしてすごい速さでスプーンを口に運ぶ。すぐにお皿を全て片してしまった。
今日は、早いトコ皿を片して、自分の部屋で天○舞を呑みなおして寝てしまおう。
乱暴に、スポンジと皿をとり、取り掛かった。
「…誰も悪くない…」
Gさんの重たい声を聞く。
不意打ちに弱い私の涙腺はお湯を出した。出続けるお湯は指先に落ちて次々とスポンジに吸い込まれて行った。
忘れられないけど…自分を許してもいいのかな。
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「帰ったぞぉー!」
ドカドカと靴を鳴らしながら、隊長さんが帰って来た。私は、隊長さんの帰りを待ち侘びていたので、即座に笑顔で反応する。
「おかえりなさい!隊長さん。飲み足りなくはないですか?」
「俺は底なしだぜ。酒らいくらでも呑めるってんだ」
隊長さんは、嬉しげに返事をしてくれた。
私は部屋から持ってきた天○舞を冷蔵庫から取り出す。
「帰って来たなら、Gさんにも呑んで貰っていいですよね」
Gさんと、仲良くなった記念の盃を、今夜の内に交わしたかったからだ。隊長さんは、瓶のラベルをしげしげとみる。
「ん?さっきの酒じゃねえのか?」
さっきの…私が出しっ放しにした千○鶴か?
「呑みたかったんですか?千○鶴」
「おう。あんな呑みかけじゃ足りねえよ」
もしかしなくても千○鶴を飲み干したのは、隊長さんだ…!!
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2007年2月16日