my monkey is blue.

あの、悪夢の日から、私はというと…風邪にうなされていた。

長時間、汗を拭かないまま下着姿で眠ったのが良くなかったんだと思う。

喉の痛みや、咳はないものの、体が暑くてだるい。
立ったままだと、ふらふらする程だ。

当然学校にも行ける筈はなく、布団に入ったり、PCを点けて運勢を見ては“外れてる”と思ったりしていたけど、それは一日で飽きた。
もう、退屈で仕方ない。
こんな時、携帯電話が欲しいと思う。
フリーメールのアドレスは持ってても、みんな滅多にメールして来ない。。
携帯電話のメールは、携帯電話用のアドレス故に気軽さを持ち合わせて、他愛ない話やちょっとした用事に皆使うのだ。

時計を見ると、五時になっていた。みんな、今頃はマックとか行ってるんだろうな…。長太郎は、部活してるんだろうけど。

…長太郎…。怒られてから三日経ったけど、口をきいてない。
そもそも、会えてない。
長太郎が失恋してから私を尋ねることは減って、私が鳳家を訪ねる方が多かったのだ。
やっぱり、考え無しだった私を怒ったままかな…。
このまま口きけなかったら、どうしよう…。

その時、玄関のチャイムが鳴った。
出るの面倒だなあ…。でも、一応留守番もしなきゃいけないから、体をゆっくり起こしてのそりと玄関へ向かった。
階段を降りるのも辛い。
なんとか転がらずに降りきって、ドアの覗き穴を見たら、お姉ちゃんが立っていた。
急いで扉を開ける。

!良かったー。出てくれて」

「お姉ちゃん」

お姉ちゃんは抱き着いて来てくれた。
うわあ、私、お風呂入れてないけど、におわないかな…?
ソワソワしていたら、お姉ちゃんが身を離してくれた。

「あ…風邪なんだよね。部屋行こうか。歩ける?」

「うん」

お姉ちゃんに支えられながら階段を昇って、部屋に引き返した。


*****


部屋に入って、お姉ちゃんに座布団を出して、即座に私は布団に戻った。
最初の日に比べて、だいぶ良いけどまだ立つのは億劫ではある。

お姉ちゃんは、私のおでこを撫でると今日話したかったであろうことを話し出した。

「長太郎に全部聞いたよ。に、男に媚び売ってるとか言ったんだって?」

…まあ、当たらずとも遠からじ。

「全く!分かっちゃいないんだから。自分を磨かない女には見向きもしないくせに…そういう子が頑張ったら頑張ったで“色気づいちゃってさ”とか言うのよ。男ってやつは!」

なんとなく、お姉ちゃんの私情がサンドされている気がする。
それは、お姉ちゃんの経験から来る言葉なのかな。
私は、男子みんながそうだとは思えないけど。

が媚びてるっていうなら、いっちょ前にオシャレに気を使ってる女は皆媚びてるっつーの!!長太郎は私から怒っておいたからね」

それを聞いて、疑問が沸き上がった。
長太郎が悪いのだろうか?

何で、長太郎は怒ったんだろう?
長太郎が、人の格好くらいで怒るとは思えない。

私は、何か長太郎のカンに障る事をしたんだと思う。

だけど、何を?

あの日は、長太郎に怒られて、落ち込む以外に出来なかった。靴ずれやら、掌を擦りむくやらで痛かったし…あ。

「お姉ちゃん…ミュールに血がついちゃった…ごめん」

カットソーは、お母さんがシミ抜きをしてくれて綺麗になったけど、ミュールの底についた血が落とし切れなかった。
本当に申し訳なくて、すこしだけ目が潤う。

「血!?」

お姉ちゃんは驚いている。
そう。私も初めてだった。
靴を履いて、血が出るなんて。

「血豆が潰れちゃったみたいで、落とせなかったの」

今度は、お姉ちゃんが困った顔をした。少し、下を向いてる。

「ごめんね、ミュール合わなかったんだね。」

「でも…お姉ちゃんは、私のためを思ってしてくれたんでしょ?気にしないで」

私は、お姉ちゃんが大好きだ。
昔は手が早くて、しょっちゅう長太郎とともにげんこつを喰らった。お転婆だったのに、今じゃすっかり女の子らしくなっている。
だけど、世話焼きなところと、元気な所は変わってなくて…見てて気持ちのいい進化を遂げたお姉ちゃんが大好きだと、改めて思った。



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2007/08/07