日々、変化。
最近、自分でよく“変わったなぁ”と認識する。
三日と空けずに戦場を見る日々が続き、悲しかったり悔しかったり不安だったりして…。でもいまの私の食い扶持であるので、最近は応急処置の図解本を毎日読むようになった。
会社員時代はまったく読まなかった類の本だ。
そして、前よりお酒が好きになった事。二日酔いになるまで呑み続ける事は無いけど、なかなか酒豪街道まっしぐらである。
「ちゃーん!」
同僚の中で、よく一緒に呑むのはロッドさん。私が特戦隊に入った縁は、この人にある。
リストラの対象(もう既にその頃は肩叩きの洗礼を受けていたのだけど。)になって、毎日自棄酒を呑んでいた所を話しかけて来た。最初は、苦手な人だと思っていたので突き放していたけど、慣れてくると職場の中で実は一番話しやすい人だった。
「呑み行こうぜぇ!」
1人で外は歩けない身なので、誘われた時は必ずOKしている。こんな時はYESマンな私。自室で呑むのもいいけど、やっぱり外にも呑みに行きたい。部屋の中で呑むのは、内向的になってしまっていけない。だから、まだ北若熱愛発覚自棄酒大会はまだやっていないのだ。うむ、渡りに船。
さて…夕飯を気合入れて、ハイスピードで仕上げよう。
*-*-*-*-*-*-*
今日は、ワイワイと賑わっているお店に来た。ここは、焼酎がいっぱい!ソワソワしてしまう。
目の前の透明な、焼酎と氷はとってもキレイに見える。
「そう言えばさぁ…ちゃん、お菓子作らないよねぇ」
「そうですね。あまりレシピは無いです。」
「珍しいね。女の子ってお菓子作るの好きなのに」
「私は好きません。失敗した時に、修正がききにくいんだもん」
「俺、食べてみたいなぁー!ちゃんのお菓子。」
「えー…お菓子作るの大変なんですよ?」
「そこで面倒くさがらない!女の子の手作りお菓子は、サムライに日本刀みたいに強力なコンビなんだから。」
「何なんですか、その例え。」
でも世の女性は、そんな風にして点数稼いでるのかぁ…。もしかして、北若さんをオトシた女も…?
「北若さあぁああん!!!」
「誰だよ、ソレ!」
ロッドさんのツッコミが入る。
「私の心の天使『かぼす』の北若さんです」
手帳を開く。くじけそうな時、雨の日、風の日…いつも変わらず微笑んでくれる『かぼす』。大分昔の切り抜きだから、何回も見て、もうボロボロだ。
「北若さんに彼女居たんです。」
「…もしかして、その写真のヤツ?」
「はい。背が高い方が北若さん。低い方が岩河さん」
「ふーん…そんなヤツに熱上げるよりも、俺に熱上げない?」
ロッドさんが肩に手を回して来たので、近くにあったマッチを摺って近づけてみた。
「うわぁっちぃ!」
「口説いていらっしゃるけど、腹の内を見せて欲しいものだわ」
「へ?」
マッチに軽く息を吹きかけ、火を消す。こんな簡単に消える『好き』なら楽なんだけど。
「『かぼす』の曲にあったフレーズです。それにロッドさんは、世界各国に恋人居るでしょ。」
「いやー…結構、寂しい思いしてるのよ?俺も」
否定しない所が末恐ろしい。マーカーさんや隊長からロッドさんの話を聞いてると、絶対女の話が出てくる。
「ロッドさん、寂しいんだ?」
「そうそう。だから、ちゃんも失恋して寂しいんじゃないかなーって思ってぇ」
いっつもヘラヘラしてるから、心配事に関して説得力など無いロッドさん。こういう時、効力なんて無いけど、ロッドさんのヘラヘラ顔は好きだ。悩んでる事がアホらしくなって、悩みが止まるから。
「私、寂しくないですよ。だって、岩河さんはそんな噂無いし。岩河さんに彼女居なけりゃいいんです」
「落ち込んでたじゃん」
「そりゃ、『かぼす』に関しては生半可な気持ちで聴いてませんからね」
私は、グラスから氷を一つ摘み、ロッドさんの手の甲に押し付ける。
「なんのマネ?」
「いや、マッチ熱かったかなって思って。後は、自分で持ってて下さい」
「…ちゃんて、変な子だよね」
ロッドさんは、氷を受け取って、さっきマッチを近づけた箇所へ当てている。
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