今日のお弁当はなんだろう。
昨日、ちゃんは夕飯が生姜焼きだって言ってたから、入ってるかも。



トイレから教室に戻ったら、いつもちゃんが持ってくるタッパーが俺の机に置いてあった。

何で?

さーん。ちゃんはー?」

「跡部君に呼び出されて、生徒会室行ったけど」

跡部がちゃんを…何の用事だろう?

それにしても、さんは相変わらず態度が冷たい。
なんだかんだで色々してくれるちゃんとはかなり違う。

やっぱり、ちゃんと一緒に食べたいな。
そっちのが美味しいに決まってる。

だから、白飯とちゃんのタッパーを袋にぶら下げて、生徒会室に進む。

歩いてる間、やっぱりちゃんの事を考えた。
ちゃんの膝は、柔らかくない。いつも、マネージャーで必要以上に走りまわってるから筋肉がついたんだ。きっと。
そんなちゃんの膝は、案外頭の置き心地が良くて、昼休みだけと言わずいつまででも頭を置いてたい位。

…学校居る時以外でも、ちゃんの膝に頭を置いてたいなー…。

膝であんなに眠り心地がいいんだから、胸はどんなに心地いいんだろう。

この前触り損ねた胸に思いを馳せてみる。
やっぱカッコつけないで、素直に揉ませて貰うんだったな。

でも、ものすごい緊張してんだもん。
なんか、そこで揉むより我慢した方がちゃんの笑顔が見れるかなーって思ったらつい、もっと先でいいやって思っちゃったんだよね。
あの時のちゃんは可愛かった。
両手を広げて、背を向けて、全身緊張しまくってて。顔も覗いとくんだった。失敗、失敗。

美術室やLL教室に差し掛かったら、跡部とちゃんの怒った声が聞こえた気がした。
また跡部が無理な事、言ったんだろーなあ…。

そんな事を予想しながら、ぼんやり確実に生徒会室へ向かう。

生徒会室の扉まで来た時、跡部の声がよく聞こえた。

「だから、これからも連いて来てくれ。お前が居ないと、締まらねえだろ」

跡部にしては、かなり必死な声だ。願うようにも聞こえた。
きっと、言われてる人間は…。

扉に寄ると、隙間が開いてた。
覗くと…跡部が後ろから女子に抱き着いてた。
その女子は後姿で顔は見えない…けど、見間違う訳ない。

ちゃんだ。

ちゃんは、動かない。

何で抵抗しないの?
抵抗してよ。

ちゃんの胸に、跡部の腕が当たってるように見えるんだけど…。

ちゃんの胸は、俺だけの予約席じゃなかったのかな。

抵抗しないって事は、ちゃんは…跡部とデキてる…?

跡部に部活中とはいえ意見出来るのは、女子じゃあちゃんだけ。
跡部だって、なんだかんだ言ってもちゃんを気にかけてる。

やっぱり、ちゃんと跡部は付き合ってるのかも…。
…気付きたくなかった…。

俺はちゃんにとって特別なんだって、勘違いして浮かれてた。

…なんだか虚しい…みじめ。

ちゃんは、好きな奴居んのにそれを曲げてまで、マネージャーの仕事をきちんとしたかったんだ。

立派だね…立派すぎて、俺にはちょっと分からない。ちゃんの気持ちは。

でもちゃんには俺の事、“トクベツ”だって思ってて欲しかった。



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【08/03/09】